はじめに
世の中には様々な測定方法による変位計があります。距離や厚み、すきま、物体の寸法などの計測に用いられます。
近年はサーボモータやステッピングモータなど、位置決めに使えるアクチュエータが多用されるようになってきましたが、それらモータだけでは難しいマイクロメータやナノメータレベルでの位置決めが必要な場合には、高精度な変位や距離を測定するセンサである変位計が求められます。
このページでは、変位計についてわかりやすく解説いたします。
目次
変位計に関する基礎知識
変位とは 物体の移動量 を意味します。平たく言うと、物体が移動した距離のことです。

変位計の種類
対象に触れずに測定する「非接触式」 の大きく2つに分類されます。

変位計の選定
■ 静電容量式
測定対象 | 分解能 | 応答性 | 測定距離 | 測定面積 |
導体、半導体 | 0.1 nm ~ 100 nm |
~ 5 kHz | 30 μm ~ 5 mm | φ1 ~ φ20 |
メリット:高安定、表面粗さの影響を受けにくい デメリット:油や水の影響を受ける
■ 光ファイバー式
測定対象 | 分解能 | 応答性 | 測定距離 | 測定面積 |
光を 反射するもの |
0.1 nm ~ 100 nm |
~ 3 MHz | 10 μm ~ 5 mm | 0.1 ~ 10 mm |
メリット:高速応答 デメリット:表面粗さの影響を受けやすい
■ レーザー変位計(三角測量法)
測定対象 | 分解能 | 応答性 | 測定距離 | 測定面積 |
光を 反射するもの |
0.1 μm ~ 数十mm |
~ 数kHz | 数十μm ~ 数十mm |
数μm ~数十mm |
メリット:作動距離が大きい デメリット:組込しにくい、表面粗さの影響を受けやすい
■ 共焦点式
測定対象 | 分解能 | 応答性 | 測定距離 | 測定面積 |
光を 反射するもの |
高い | ~ 数百kHz | 数百μm ~ 数mm |
数μm |
メリット:測定領域が小さい デメリット:表面粗さの影響を受けやすい
■ レーザー干渉計
測定対象 | 分解能 | 応答性 | 測定距離 | 測定面積 |
光を 反射するもの |
数nm ~ 数百nm |
~ 数十kHz | 数μm ~ 数mm |
数十μm ~ 数mm |
メリット:測定範囲が広い デメリット:高価、表面粗さの影響を受ける
■ 渦電流式 磁界を利用
測定対象 | 分解能 | 応答性 | 測定距離 | 測定面積 |
金属 | 1 ~ 10 μm | ~ 100 kHz | 1 ~ 2 mm | 10 mm |
メリット:水や油が飛散しても影響を受けない デメリット:測定対象が限定的
■ 超音波式 超音波を利用
測定対象 | 分解能 | 応答性 | 測定距離 | 測定面積 |
音波を 反射するもの |
数mm | ~ 数十Hz | 数cm ~ 数m | 数mm ~ 数十cm |
メリット:色や厚さの影響を受けない デメリット:風や湿度の影響を受ける
位置決め用途に

分解能は最小 0.6 nm、応答性は最大 5 kHzです。対象が導体であれば材質によって感度が変わらず、表面粗さの影響をうけないため、校正やゲイン調整が不要です。
■ 測定対象が絶縁体の場合

一般的な光ファイバー式変位計と異なり、面倒なワークごとの反射率の補正は不要。プローブを測定箇所に近づけるだけで高速微小変位の測定が行えます。
■ オイルミストや水のかかる環境での測定

サブミクロンメートルの分解能を持ち、オイルや水漏れにも影響されず測定ができます。
すきまの測定
平面度、平坦度、回転体の軸ぶれ、面ぶれの測定

2 ch入力の計測をもとに分析し、上下限判定、リサージュ曲線描画での同芯度測定、波形描画による振動モード解析、FFT解析がすべて一台で行えます。
最新100回分の波形を内部メモリーに自動保存し、履歴画面ですぐに確認できます。
厚みの測定

UMA-500シリーズは測定・表示・分析・記録を一台でこなす、オールインワンタイプのポータブルモーションアナライザです。
2 ch接続できるので、上下向かい合わせにセンサを配置し、測定対象を通過することで厚みをナノメートルオーダーの高精度に測定が行えます。