ユニパルスの静電容量変位計の原理

静電容量方式の変位計では測定プローブと測定対象物間の静電容量 C に、交流電流 I を流した時の電極の電圧Vから、測定ギャップ g を求めています。交流のオームの法則から、電圧は、

となり、測定ギャップの静電容量は、電極面積を A 、真空誘電率を ε0 、比誘電率を εs とすると、

なので、

となり、電圧は測定ギャップに比例することになります。ユニパルスの静電容量変位計は、この式から分かるとおり、出力電圧がギャップに直接比例することから、リニアライザを必要とせず、原理的に高い直線性が得られます。

静電容量変位計による厚さ測定の原理

この測定ギャップに、厚みが t 、比誘電率 εs のフィルムが挿入されたとします。電極とフィルムの間の2つの隙間をそれぞれ g1 、 g2 とし、それぞれの静電容量は C1 、 C2 であるものとします。これらの静電容量は、直列に接続されていると見なせるので、電極間の合成静電容量 C は

と表されます。したがって、静電容量変位計の出力電圧は、

となります。フィルムが無い場合は、

となるため、フィルムの有無での電圧変化は、

となり、フィルムの厚みtに比例することになります。
厚さが既知のフィルムを用意して、ワークが無しの時に零点を調整し、既知の厚さのフィルムを挿入した時の出力で実感校正を行えば、比誘電率が等しいフィルムに対しては、厚み計として使用することができます。F377Aを用いると、このような実感校正を簡単に行うことが可能です。

測定分解能

本測定の分解能は、厚さの変化を変位信号に換算して求めることができます。変位換算のフルスケールに対する分解能をN 、変位計の測定レンジを gmax[m] とすると、厚さ分解能 tr は誘電率が変化しないとすれば、

となります。
例えば、PS-IAにRZ30-1000を使って、測定ギャップ gmax=1100[μm] にセットした場合 (測定レンジ1000[μm] 、オフセット100[μm] なので、フルスケール位置は1100[μm] になります。この時の電圧出力は10Vになります)、変位換算分解能N=0.02[μm] なので、比誘電率 5 のフィルムを挿入する場合の分解能は、

となります。
ユニパルスの静電容量変位計は、ガードリング方式を採用しているため、電流を流している中心電極直下では、平行電場になっており、フィルムの位置がギャップのどの位置にあるかに無関係に高速・高精度に厚みの測定が可能です。

フィルムの厚み測定イメージ動画

静電容量方式の変位計「PS-IA」によるフィルムの厚み測定の様子です。フィルムの位置がギャップのどの位置にあっても正確な厚み測定が可能です。