トルクとは軸をねじる力を意味します。あまり聞き馴染みのない言葉ですが、実は身の回りに多く存在するチカラです。
近年様々な自動化が進み、モータなどのアクチュエータが多用されるようになってきたことで急速に身近な存在となっているのです。
みなさんの身のまわりにも回転体を使ったものが必ず存在していて、そこには回そうとする力や止めようとする力が発生しています。
こちらのページではそのトルクを測るトルクメータについてわかりやすく解説いたします。
1 トルクに関する基礎知識
トルクってなに?
トルクは軸に対してねじり方向の力を意味します。
平たく言うと、軸を回そうとする力、止めようとする力のことです。
トルクは軸を回そうとする力で、力と軸芯からの距離の積で求められます。
右の絵のように負荷をかけた場合のトルクは
1N〔力〕×1m〔距離〕=1Nm〔トルク〕
と表します。
2 トルクメータについて
様々なトルクメータ
トルクを測るトルクメータには様々な計測方法があり、それぞれに特徴があります。
非回転型 | |
歪ゲージ式 | 回らないタイプ。トルクレンチなどが代表的。 |
回転型 | |
磁歪式 | 高速回転に対応可能ではあるが、精度的に難あり。 |
歪ゲージ式 | 高精度だが回転体からのトルク信号の取り出しに難あり。 |
位相差式 | 構造上どうしても大きくなってしまう。 |
UTMⅢにしておけば間違いありません!
しかも納期が早いので生産ラインにも安心してご採用いただけます。
カップリングやトルクモニタなど便利な別売品も多数ご用意しております。トルクの管理・計測など、ぜひお気軽にご相談ください。
トルクメータってどんなところで使われているの?
トルクメータは様々なところで利用されていますが、主に「実験・研究目的」と「生産ラインでの品質管理目的」で利用されます。
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非接触伝送のメリットとは?
従来の回転トルクメータではスリップリング複数個を軸に押し付けることでセンサ出力を回転体から取り出していました。これにはいくつか大きな問題があり、センサスペックや用途に制限があります。
UTMⅢは非接触伝送によりハイスペック、高回転、メンテナンスフリーなど使いやすいトルクメータになりました。
接触タイプはカーボン製接触子の摩耗により定期的なメンテナンスが必要となります。また、ブラシは軸を一定圧で押す必要があり、回転を妨げるため低トルクの計測には不向きです。
接触タイプ | |
・定期メンテが必要 | ・高速回転できない |
・低容量タイプをつくれない | ・精度が良くない |
・データが途切れることがある | ・本体が大きい |
回転を妨げるものがないので高い精度を実現しています。メンテナンスも不要です。
UTMⅢの特長 |
・メンテナンスフリー |
・0.05Nmの微小トルクからラインアップ |
・25000rpmの高速回転(0.05~2Nm) |
・コンパクトなのに高精度 |
3 トルクメータの設置
トルクメータは、連結する軸ができる限り一直線となるよう調整することが大切です(アライメント調整)。
ダイヤルゲージなどで各軸部分の偏芯をみる必要がありますが、トルクメータの出力をみながら軸を回し、出力のばらつきが小さくなるように調整することでも高精度なアライメント調整ができます。
また、軸と垂直方向に力がかからないように設置することも大切です。
トルクメータが大きいと本体重量がシャフトに影響を与えてしまい、正しく計測ができない場合があります。
UTMⅢは本体重量が軽いのでシャフトに影響を与えず、取り付けも非常に簡単です。下の図のように本体がぶら下がっていても問題ありません。
※ぶら下がりで設置する場合は必ず安全上の対策を行ってください。
4 トルクメータの選定
まずはトルクを測る目的を明確にしましょう。その上で下記の項目を元に選定してください。
※(C)はUTMⅢのみ、(WR)はUTMⅡのみ
5 アプリケーション例でご利用のイメージを
モータ試験機
モータに負荷をかけて性能評価をします。
パウダーブレーキやヒステリシスブレーキが負荷装置として多用されます。
ローラーの回転負荷測定
紙や箔の送り時のトルクを計測し、最適な条件を決めるのにご利用いただいています。
発電効率の測定
トルクと回転数から力のエネルギーを演算し、得られた電気エネルギーを比較して効率を確認します。
歯車の官能検査
ギヤ回転のスムーズさを数値化することができます。また、大きなガタを検出し、良否判定も行えます。
6 カップリングにも気をつかいましょう
カップリングは世の中に数多くありますが、どれでも良いというわけではありません。
計測にあったカップリングを選定する必要があります。
カップリングを選ぶ上で考慮すべきことは
●伝達トルクが十分であること
●最高回転数が仕様の範囲内であること
などがありますが、基本的には計測の目的に合わせて選定するのが望ましいでしょう。
※オルダムカップリングの使用はお勧めしておりません。やむを得ず利用する場合は本体を固定するなど安全を考慮してご利用ください。
※インロータイプを使用する場合には、両側にダブルカップリングを取り付けてください。
振動吸収に優れたゴムタイプをはじめ最適なカップリングをご案内いたします。
高速回転時の振動の吸収やサーボモータの回転振動を減衰させます。また、剛性を必要とする場合もご相談ください。
トルクメータが振動しないようなカップリングを選びましょう
UTMを固定せずに利用する場合は、両端にゴムカップリングやシングルディスクカップリングを使用することをおすすめします。
7 安全とより正確な計測のために
軸にはセンシングの機能があり破損する恐れがあります。
軸に負荷がかかるような取り付けはしないでください。
回転振動がある場合、回転速度が共振ポイントと一致してしまうとトルクメータが思わぬ過負荷を受けてしまい場合によっては破損につながります。
共振ポイントを避けたところで使用するなど対策をしてください!
8 トルクメータ Q&A
トルクって何? もう少し詳しい解説
トルクとは、軸を回そうとする力のことです。例えば、ドライバーやスパナのような工具でネジを回すときの力に相当します。力を加える位置が軸の中心から遠いほど、強いトルクが掛けられます。このため、トルクは、力と軸からの距離を掛けた値で表します。通常は国際規格であるN·mが使われます。
ニュートンメートル(newton metre、記号:Nm, N·m)は国際単位系 (SI) における力のモーメント(トルク)の単位であり、1ニュートンメートルは「ある定点から1メートル隔たった点にその定点に向かって直角方向に1ニュートンの力を加えたときのその定点のまわりの力のモーメント」(計量単位令による)と定義されています。
回転トルクメータって何?
身の回りでトルクを測定する測定器としては、トルクレンチなど、ネジの締結トルクを測定する物がありますが、これは、軸が連続的に回転する訳では無く、最後に締め付けるトルクが測定できればいいので測定は比較的容易です。
しかし、モータやエンジン、減速機、ローラーなど、世の中には軸が連続的に動力を伝えて動いている物がたくさんあります。回転トルクメータは、連続的に回転する軸のトルクを測定することができるトルクメータです。
UTMⅢってどこがスゴイの?
UTMⅢの魅力はたくさんあります。ご利用いただいているユーザー様からは
●本体がコンパクトで、狭いスペースでも設置可能
●回転がスムーズで、微小トルクのラインアップがある
●非直線性やヒステリシスなど高精度
●耐負荷500%R.O.なので過負荷に強く、安心
●5kHzの高帯域、20kHzサンプリングなので、速いトルク変動にも追従できる
●アンプ内蔵で使いやすい
●魅力的な価格である
●必要な時にすぐ手に入る
などの評価をいただいております。
RPMって何?
RPMはRound Per Minuteのことで1分間あたりの回転数をいいます。
必要な電源は?
DC24Vをご用意ください。(消費電流は100~160mAです)
ケーブルは付属されている?
2mケーブルが付属されています。UTMⅢとの接続側はコネクタ加工されており、反対はバラ線になっています。
また、5mケーブルをご希望の方にはトルクメータご購入時に2mケーブルと5mケーブルを交換できるオプションをご用意しております。
購入時にユーザーにて設定など必要?
UTMⅢは出荷時にキャリブレーションされており、そのままご利用いただけます。アナログの出力はフルスケールに対し±10Vで出力されるようになっています。
UTMⅢの寿命は?
UTMⅢの寿命はベアリングの寿命に依存します。ベアリングの寿命については下図をご参照ください。
定期的なメンテナンスが必要?
UTMⅢはスリップリングを使用していないので基本的にメンテナンスフリーです。
UTMⅢで回転数は測定できる?
UTMⅢからは、回転数検出のためのパルス信号が1回転あたり4回出力されます。回転数への変換は、外部機器にて行ってください。
UTMⅢ専用トルクモニタはこのパルス信号を回転数(RPM)として表示する機能が組み込まれております。
誤って大きな負荷がかかったら壊れる?
UTMⅢの許容過負荷は500%R.O.です。仮に瞬間的にこれを超えてしまっても直ちに破損には至りません。
真空中で使用できる?
条件にもよりますので、弊社営業担当までご相談ください。
ケーブルの変更はできる?
2mの片側バラ線のケーブルが付属しますが、特別仕様ケーブルもご案内可能です。
また、コネクタのみの販売もしておりますのでお客様にてケーブル加工も可能です。
軸に直接治具をとりつけられる?
お勧めできません。
正確な計測の妨げになったり、条件によってはUTMⅢ内部のベアリングの寿命を著しく悪くする恐れがあります。
回転トルクと動力を同時に測定したい
回転トルクと回転数がわかれば演算で動力を求めることができます。
TC80-D3V・TC80-EIP・TM700・TM320・TM201には動力の自動演算機能が組み込まれています。
なお、動力の演算式は以下の通りです。
トレサビリティーのため詳細な試験成績書が欲しい
試験成績表をご希望の場合は、お買い求めの際にあらかじめお伝えください。
芯出しはどうやってやるの?
一般的には順次、軸をゆっくり回転させながらダイヤルゲージにてズレを確認していきます。最終的には、UTMⅢの出力波形を確認しながら変動が最小になるように調整してください。
ドライブとロードを逆につけた場合どうなる?
破損などにつながることはありません。
ドライブ側とロード側は、慣性モーメントが違いますので、トルク出力に若干の違いが出ます。正しい取り付けに修正してご使用ください。
耐負荷が500%なので定格容量以上で使用できるの?
ご利用はあくまでも定格容量の範囲内でお願いいたします。耐負荷を500%R.O.としているのは、より壊れにくく、安心してご利用いただけることを考慮しています。
配線を間違えてしまった。壊れたかな?
UTMⅢには保護回路が入っておりますので結線を間違えてしまっても直ぐに破損には至りません。
※AC100Vなどの大電圧には耐えられません。
UTMⅢとトルクモニタを接続した場合、表示可能な最低回転数はいくつですか?
TM700:0.1rpm
TC80-D3V、TM380、TM320、TM201:2rpm
TM400:15rpm です。
これを下回った場合、トルクモニタ側が強制的に0rpmを表示するようになっています。
ただし、UTMⅢとTM320をRS-485によるデジタル出力で表示させたときは、設定により1rpmで表示することが可能になります。
ノイズの影響は受ける?
UTMⅢは、外来ノイズの影響を抑えるための対策を行っていますが、過大なノイズは測定に影響を及ぼすことがあります。
カップリング部分の締め付けトルクは誤差になる?
カップリングの締め付けが弱く、軸とカップリングの間で滑ってしまえば正確なトルク測定はできませんが、軸が滑らなければ締め付けトルクは誤差要因にはなりません。
出力のフルスケール値を変更できる?
UTMⅢは工場出荷時にキャリブレーションを行っており、出荷後の変更はできません。接続する機器にてスケーリングしてください。
外付けアンプは必要?
UTMⅢはアンプを内蔵しており、トルク値は±10Vのアナログ電圧とRS-485によるデジタルデータの両方を出力します。外付けアンプは不要です。
Nmをkgmに換算するとどれくらい?
下の換算表とこちらの「トルク単位換算」をご参照ください。
Nm | Ncm | kgm | kgcm | gcm | mNm | |
Nm | 1 | 102 | 0.10197 | 10.197 | 1.0197×104 | 103 |
Ncm | 10-2 | 1 | 1.0197×10-3 | 0.10197 | 1.0197×102 | 10 |
kgm | 9.8067 | 9.8067×102 | 1 | 102 | 105 | 9.8067×103 |
kgcm | 9.8067×10-2 | 9.8067 | 10-2 | 1 | 103 | 98.067 |
gcm | 9.8067×10-5 | 9.8067×10-3 | 10-5 | 10-3 | 1 | 9.8067×10-2 |
mNm | 10-3 | 0.1 | 1.0197×10-4 | 1.0197×10-2 | 10.197 | 1 |
オプションのロータリーエンコーダの最高回転数は?
最高回転速度は5000rpmです。〈UTMⅢ-0.05Nm(R)~50Nm(R)〉
容量のラインアップが多いが、どれを選択したらよいだろう?
求める計測精度が高くない場合は、安全性を考慮し定格容量の30~50%くらいでのご使用をお勧めいたします。
UTMⅢの性能をフルに活かし、定格容量付近でご使用になる場合は、過負荷に十分注意してください。
エンジン特性測定に使用したい
エンジンの試験では時に大きく振動することがあります。振動の影響を受けないようにUTMⅢを設置してください。
TC80-D3V・TC80-EIP・TM700・TM320・TM201を使用すると、トルクと回転数を同時に測定でき、動力も表示できます。
UTMⅢはどこで買えますか?
当社は直販のメーカーです。直接お買い求めいただけます。
どのくらいで納品できますか?
UTMⅢはおよそ1週間でお届け可能です。ただし一部の製品については2~3週間かかることがあります。
オプションのご希望がある場合にもお時間をいただくことがあります。また、JCSS校正※も対応できます。
※JCSS校正について詳しくはこちら
壊れたら修理できますか?
UTMⅢは構造上壊れにくくなっております。万が一破損してしまった場合は致命的な故障である可能性が高く修理不能となる場合がございますが、まずは弊社営業担当へご相談ください。
特注での製作は可能ですか?
ご要望の内容によります。弊社営業担当へご相談ください。
オプションは購入後に取り付けられる?
オプションは全てご購入時の選択となります。納入後のオプション追加はできませんのでご注意ください。