私たちの身の回りは実に多くの回転機構で溢れています。ドアノブやノートパソコンのヒンジ、自転車やペットボトルのキャップなど探せばいくらでも出てきます。
これらを回転させようとする、あるいは回転を止めようとするには、力が必要です。「トルク」とはこの力のことであり、トルクメータはこの回転方向の力を測るための計測器です。
下の絵ではどちらも軸に対し回転方向に力を加えており、その力はどちらもトルクです。雑巾はある程度のところでかたくなり、手の力と吊り合ったところでそれ以上回りません。自転車は踏み込みを続けてもペダルの軸は回転し続けます。
同じトルクではありますが、この力を計測しようとすると少し事情が変わってきます。特に回転中のトルクを測るには工夫が必要になります。
絞り切った雑巾に加える力は非回転のトルク
自転車のペダルは回転し続けるので踏み込む力は回転のトルク
従来のひずみゲージ式トルクメータは、回転体からスリップリングを通じてトルクデータを取り出すことが一般的でした。
スリップリングとは、回転体に対して同心円状に配置された環状の電路とブラシを介して電力や信号を伝達するための機構です。通常2、3個のスリップリングを軸に装着し、それぞれ一定の力で押し付けることで接触を保ち電気信号を取り出します。
スリップリングの接触子はカーボン製で、銀リングとの摩擦によって摩耗します。粉塵が 内部に飛散するので、ブラシユニットの交換やトルクメータ本体のクリーニングが必要です。また、ブラシユニットの押し付けは軸の回転を少なからず妨げるので、トルクを正確に計測できません。
UTMIIIは、検出部のある回転軸とデータを出力する固定部が非接触で伝送されます。軸の回転を妨げず、メンテナンスも不要。また、デジタル伝送なのでどの回転域でも安定したトルク計測が可能です。検出部にはストレインゲージを採用。他の検出方法と比較して格段に高い精度を実現しています。
非接触伝送は、技術的には複雑ですが構造的には非常にシンプルです。本体をより小さく設計でき、従来の”トルクメータは大きい” というイメージを刷新しました。
接触型トルクメータ
UTMIIIは同じ容量でも非常にコンパクト
スリップリング式トルクメータは接触子の摩耗があります。そのため、回転数や耐久時間を気にする必要があります。カーボン製の接触子は摩耗して最後にはなくなり、場合によっては銀リングの破損に繋がります。こうなると修復は不可能で、トルクメータ本体の交換が必要となります。
また、摩耗したカーボンは筐体内で飛散し真っ黒に。
UTMIIIはスリップリングがありませんので、メンテナンスを気にせず使用することができます。
これまでのトルクメータは別途専用アンプが必要でした。しかし、上記のブロック図にあるようにUTMIIIはアンプ内蔵です。この小さいユニットを軸にカップリングで繋ぐだけで回転中のトルクを計測できます。 その出力は定格トルクで±10Vを出力するように調整されています。
UTMIIIの特長はいろいろありますが、ここでは非接触伝送のメリットを活かしたアプリケーションを紹介します。
非接触伝送のメリットは
モータの起動トルクを計測するのには、トルクメータ自体が負荷にならない必要があります。
UTMIIIは動き出しが軽く、正しい起動トルクを計測できます。
ヒンジやレバーなど人の操作に関わる部分 のトルクをチェックします。
微妙な感触を数値化して管理できます。
ワークの耐久テストは時に長期にわたり試 験をすることがあります。
UTMIIIはメンテナンスフリーなので、長期間の試験にぴったりです。
トルクメータには、目的や取付けなどから様々なニーズが求められます。
UTMIIIは要望に応じて容量のラインアップやオプションが充実。0.05Nmの微小トルクから500Nmまでの全13種と4種類のオプションをご用意しております。
ロータリーエンコーダ
キー溝
インロー
角ドライブ