「UTMⅢ」は小型・軽量かつ非直線性0.03%FS、最高回転数25,000rpm、許容過負荷500%を実現した回転トルクメータです。
モータ試験機や官能検査の自動化など、幅広い用途でご利用いただいております。
今回、ラジアル荷重やスラスト荷重がトルクの実効精度に与える影響を規格化しました。
2021年度版ユニパルス総合カタログの7ページに上の表が掲載されています。
また、ユニパルストルク計測カタログにも記載いたしました。ページ下部のリンクよりダウンロードしていただけます。
許容軸端荷重のラジアルN、スラストNは、それらの荷重がかかった時にトルク出力への影響が0.03%以下であることを保証する値です。
トルク計を使用する際には、軸と軸とを連結する必要があります。しかし、それを完全に同心かつ平行に設置することは不可能で、必ずいくらかの誤差が残ります。この誤差によるラジアル荷重やスラスト荷重を吸収するデバイスがカップリングです。
しかし、カップリングで軸ずれによるラジアル荷重やスラスト荷重を完全に吸収できるわけではなく、トルク計本体にもスラスト荷重、ラジアル荷重が残ってしまいます。
小容量のUTMⅢでは単軸ゲージを、中大容量のUTMⅢではせん断ゲージを設けています。どちらもホイートストンブリッジでひずみを検出しています。
例えば、右ねじりのトルクがかかったときに上図ゲージ1と3には圧縮ひずみが、ゲージ2と4に引張ひずみがかかるように配線します。すると、軸の曲げ(ラジアル荷重)や圧縮・引張(スラスト荷重)に対しては出力を打ち消し合うように作用します。
つまり原理的にはラジアル荷重やスラスト荷重に対して出力は変化しなくなるはずです。
しかし実際には、ひずみゲージの僅かな貼付け位置や貼付け角度の誤差によりラジアル荷重やスラスト荷重の影響が残ってしまいます。
特に中大容量UTMⅢは、貼り付け角度に敏感なせん断ゲージを使用しているので、ラジアル荷重、スラスト荷重の影響を受けやすい傾向にありました。
この対策として重要なのが、ひずみゲージの軸に対する角度とひずみゲージの位置の対称性です。対称性が完全であればその影響は相殺されて出力には現れません。
このたび、新生産プロセスによりひずみゲージの設置角度の精度を大幅に向上させました。ラジアル荷重、スラスト荷重が精度に与える影響を大幅に軽減しました。
下図に従来プロセスと新プロセスで製作したものを比較しています。
ここではUTMⅢ-2Nmの片側の軸端を固定し、軸のもう片方の軸端にベアリングを介して7Nのラジアル荷重を負荷しました。
ベアリングを介すのは、力をかけたことによってトルクが発生するのを防ぐためです。
従来プロセスで製作した個体は最大約0.1%出力が変化するのに対し、新プロセスで製作したものは0.01%以下の変化になっています。
許容軸端荷重のばらつきが仕様で抑えられますので、今まで以上に高精度なトルク計測を安心して行っていただけます。